【2月の養生(1)痛み止めの話】2/7配信メルマガ#30

今までの人生で、解熱鎮痛剤(痛みをおさえたり熱を下げたりする薬)を一度も服用した

ことがない人はほとんどいないのではないでしょうか。飲み薬だけでなく、湿布や

塗り薬などの外用剤もありますね。皆さん、一度は使ったことがありませんか?


頭痛、生理痛、発熱、外傷などによる痛み、抜歯などの術後等々、病院でもよく処方

されますし、最近ではロキソニン®も市販薬となり(スイッチOTC)、処方箋がなくても

手軽に薬局で買えるようになったので、より身近な存在になっているのではないで

しょうか。

CMでも「痛くなったらすぐ」とか「我慢しないで早めに」などと言っているのを

よく耳にするので、常用している人も多いかもしれません。


たしかに痛みはつらいです。

我慢するより、薬を飲んでなるべく軽く、早く楽になりたいと思うのも分かります。

でも痛くなったらすぐに、頻繁に服用していて良いのでしょうか?


バファリン®やロキソニン®に代表されるような解熱鎮痛剤は、NSAIDs:非ステロイド

性抗炎症薬(Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs)と呼ばれます。

プロスタグランジンという、炎症、発熱、痛みを起こす物質が作られるのを阻害する

ことで、効果を発揮します。

ではなぜ、体内でプロスタグランジンが作られるのか?

それは副交感神経優位にして、病気やケガを治そうとしているカラダの反応です。


副交感神経は適度に活性化したときはリラックスできて、感覚も敏感になりますが、

過剰反応を起こすと、発熱、痛み、発赤、腫れなど、とてもつらく、不快な症状を

伴います。

しかし病気やケガを治す過程では、そうやって患部への血流を増やし、組織を修復して

治そうとしているのです。

ですから、つらくてもある程度までは受け入れないと治りません。


現代の医療では、この副交感神経が起こす治癒反応を薬で抑えようとします。

不快なつらい症状は止まりますが、同時に治癒反応も止めてしまっているのです。

症状が治まれば楽になって治ったように感じるかもしれませんが、根本的には治って

おらず、慢性化させ、長引かせてしまう可能性もあります。


症状がとてもつらいときは、薬を使って軽減するのも良いでしょう。

しかし、解熱鎮痛剤は決して根本から治してくれているわけではない、ということを

自覚して使わなくてはなりません。薬で症状を軽くしている間に、必ず養生することが

必要です。

痛み止めを頻繁に使っている方は、いま一度、使い方を見直してみてくださいね。


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お読みいただきありがとうございました。

西洋医学では、炎症を止めること=病気が治ること、になってしまっています。

症状を取り除くこと、対症療法ばかりになると、病気をより悪化させてしまうことも

おおいにあると思います。

薬に頼るばかりでなく、養生しながら、上手に使ってほしいと思います。

漢方養生アドバイザー® 吉澤茜

【1月の養生(4)自分に合った養生を】1/31配信メルマガ#29

私の友人の話なのですが、寒い時期になると手足の末端がとても冷えて、ひどいと

しもやけができる。なので冷えを改善するために毎日ショウガを食事や飲み物に入れて

せっせと摂っている、という話を聞いたことがありました。

冷え性の人はカラダを温める作用のあるショウガを摂ると良い、というのは陰陽の

バランスを考えるととても良さそうですね。

しかし、これは、しもやけができる人全員に当てはまるのでしょうか?


しもやけは、寒さによる血行不良が原因で、手足の指先や耳たぶなどの身体の末端部が

赤く腫れたり、痒みや痛みが出たり、ひどいときには水ぶくれができたりすることも

あります。真冬よりも、寒暖差の大きい初冬や冬の終わり、春先に多いと言われて

います。


その友人は、見た感じや普段の生活、体調などを聞いていると「陰虚」体質のように

見受けられました。

陰虚ということは、陰が少ないので相対的に陽が過剰になっています。

そしてしもやけの症状と言うのは、腫れ、赤み、痛み、痒みなど、「陽」の症状です。

そこに温性のショウガを毎日摂っていたらどうでしょう。

さらに陽が過剰になり、しもやけの症状が悪化してしまうかもしれません。


この場合は、不足している陰を補うことが必要でしょう。

陰を補う(カラダを潤す)作用のある食材、腎の働きを助け、血を補う食材を摂る、

睡眠をしっかりとる、ゆったりとくつろぐ時間をとる等。

また普段からストレスがあり、交感神経の緊張が続いていると末梢の血流が悪くなり、

気滞、瘀血を招きます。発散、逍遥とすることもとても大切です。

ゆっくり湯船に浸かってリラックスする、温かいハーブティーを飲んで一息つく、

好きな香りのアロマを取り入れるのも気の巡りを良くしてくれます。

運動不足で巡りが悪くなっている人は、なるべくこまめにカラダを動かすように意識し、

滞らないようにしましょう。


しもやけ=冷え性­=温める、ではなく、なぜそうなっているのか、なぜその症状が

現れているのか、原因は人それぞれ違います。

逆のことをすると良くならないどころか、悪化してしまうこともあります。

もともとの体質、気質、生活習慣、食生活など、ひとりひとり違いますので、

陰陽、寒熱をよく観察し、自分に合った養生を取り入れましょう。


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お読みいただきありがとうございました。

漢方養生学を学ぶと、健康や生活習慣を乱している根本的な理由を見つけることが

できるようになり、様々な養生法を試していく中で、自分が元気になる養生法が

分かるようになります。するとすぐに行動、実践につながりますし、大切な人にも

ひとりひとりに合った養生法をアドバイスすることができるようになります。

まだ漢方養生アドバイザーの資格をお持ちでない方はぜひ目指していたいただき、

一緒に漢方養生学を伝えながら、仲間づくりをしていきましょう!

よろしくお願いします。

漢方養生アドバイザー® 吉澤茜

【1月の養生(1)元気で楽しく!】1/10配信メルマガ#26

新年あけましておめでとうございます!

本年もどうぞよろしくお願い致します。


あっという間に1月も10日が過ぎました。

皆さんはどんなお正月を過ごされましたか?

昨年は自粛ムードでしたが、今年は感染対策をしながら、例年通りに帰省や旅行、

初詣やお出かけなどをされる方が多かったようですね。

我が家は今年も帰省せず、家族でのんびりと年末年始を過ごしました。

そして、年末のメルマガに「食べ過ぎ注意」と書きましたが、

案の定、食べ過ぎました(苦笑)。


動かず食べてばかりいると、本当にカラダが重だるくなりますね。

カラダがだるくなると、なんだか頭もボーッとしてきてあまり働かなくなり、

家事や仕事をするにも動きが緩慢になりますし、はかどりません。

部屋の外は寒いし、ますます動くのが億劫になり・・・という負のループに突入です。


あー!これではいけない!と思い、思い切って外に出て、縄跳びをしてみました。

ほんの数分ですが、少し心拍数が上がるぐらいやって家に入ってみると、

あれ?!だいぶ頭がスッキリ!さっきよりカラダも軽い!と感じました。

たったこれだけのことなのに、気持ちも前向きになった気がします。

カラダを動かすことは本当に大事だなと実感しました。


同じことをするにも、体調に不安や不調を抱えている状態と、良好な状態で比べたら、

体調が良くて元気なときにやった方が絶対に楽しいですよね!

そして、若いときのように元気に動き回れたり、ぐっすり眠れたり、ごはんを美味しく

食べられたら、毎日楽しいですよね。


現代は「未病」の状態の人や、疲れやすい、風邪をひきやすい、カラダが重だるい、

やる気が出ない、というような症状が日常的にある人がたくさんいると思います。


しかし、漢方養生学の知恵を日々の生活の中で活かし、実践することで、カラダを

整えることができるようになります。

手軽に、お金もかけず、すぐにできることがたくさんあります。

病気や未病、不調がある方はもちろん、いま特に困っていない、不調もなく元気に

過ごせているという方も、さらに元気に良好な状態になれます。

漢方養生は、老若男女どんな人にも必要で有効な健康法だと言えます。


皆さんも、小野満先生に出会い、漢方養生の考え方に出会い、

行動してみることで体調の変化を体感したり、その考え方に感銘や衝撃を受けたりして

漢方養生の世界に入られたと思います。

まずは自分が実践すること。そしてそれを身近な人にも伝えていきましょう。


今年は、より多くの方に漢方養生学を知ってもらえるように、

そして、ひとりでも多くの漢方養生アドバイザーの方が誕生するように、

私たちも考え、行動していきたいと思っています。

アドバイザーさん同士が横の繋がりを持てるようにもしていきたいです。

ぜひ一緒に活動しましょう!!よろしくお願いしいます!!


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お読みいただきありがとうございました。

今日は成人の日ですね。

新成人の皆様、ご家族の皆様、おめでとうございます!

晴れ着姿の方を見かけると、こちらも嬉しくなりますね。

今の若者たち、子どもたちのためにも、漢方養生の知恵を私たちで残して伝えて

いきましょう!

これからもよろしくお願いしいます。

漢方養生アドバイザー® 吉澤茜

【12月の養生(3)年末年始の過ごし方】12/20配信メルマガ#25

いよいよ今年も残すところ10日あまりとなりました。

皆さん、年末年始はどのように過ごされる予定でしょうか。

お子さんやお孫さんが帰ってきたり、親戚の皆さんで集まったり、実家に帰省したり、

旅行に行ったり…きっと皆さんそれぞれの楽しみがあると思います。

おせちや豪華なお料理を囲んで、美味しいお酒を楽しく飲む、という場面も増えますね。


この時期、食べ過ぎに注意しましょう、というお話は先週のメルマガでお伝えしました。

肥甘厚味(脂っこい、甘い、濃厚こってり)や、生冷食(生もの、冷たいもの)の過食は

脾胃に負担をかけ、機能を低下させます。後天の精の源である脾胃を損なうと、全身の

不調へと繋がったり、免疫力の低下を招いて風邪を引きやすくなったりすることもあり

ます。

いろいろな種類のものを少しずつ、良く噛んで味わって食べる、お酒の飲み過ぎには

注意する、冷たいものはなるべく控える、空腹を感じてから食べる、など今までお伝え

してきた養生も、頭の片隅に入れておいてくださいね。


そして寝正月や、家でテレビを見ながらゴロゴロしてばかりではなく、外に出ましょう。

初詣に行く、散歩をする、できる方はジョギングや軽い運動など積極的にやりましょう。

お仕事も学校もお休みで、どうしても生活が不規則になりがちです。夜は遅くまで起き

ていて、朝は日が高くなるまで寝ている、という生活をしていると、時差ボケのように

なってしまい、休み明けがとてもつらくなってしまいます。

お正月休みの間も、いつもの生活時間と大幅にずれないように、なるべく規則正しい

生活を心がけてください。心身ともに元氣に新年を迎えましょう!

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今年の7月から始めたこのメルマガですが、読んでくださっている皆様のお陰で、

半年間続けて来ることができました。本当にありがとうございます。

「いつも楽しみにしています」、「復習に役立っています」、「これからも続けてください」、

など感想もいただくことができて、とても励みになりました。

文章を書くにあたり、いろいろ調べたり、様々なテキストや本を何度も見返したりし、

自分にとってもすごく勉強になりました。

来年も続けていきたいと思っていますので、どうぞお付き合いください。

お友達やこのメルマガを読んでほしいと思う方、また読んでみたいと思ってくださる

方がいましたら、ぜひ事務局までご連絡、ご紹介ください。

ご希望の方にメルマガや勉強会、イベントのお知らせなどを送らせていただきます。

最後に、漢方養生アドバイザーの資格をお持ちの皆様!

ぜひ漢方養生学をたくさんの方に知ってもらえるよう、共に学び実践し、活動していき

ましょう!アドバイザーの皆様のお力が必要です。

来年は、今年以上にたくさんのアドバイザーさんに関わっていただけると嬉しいです。

どうぞよろしくお願いしいます。

今年のメルマガは今週で最後となります。お読みいただきありがとうございました。

健やかに良いお年をお迎えください。皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。

漢方養生アドバイザー® 吉澤茜





【12月の養生(2)食べ過ぎ注意!?冬の食養生】12/13配信メルマガ#24

これから年末年始にかけての時期は、忘年会、クリスマス、お正月とイベントが続き、

ごちそうを食べたり、お酒を飲んだりする機会が増えるのではないでしょうか。

気温と体温の関係を考えたときに、冬は気温が低く体温との差が大きいので、その差を

埋めるために体内でたくさんの熱を作り出さなくてはなりません。ですから、その燃料

となる食べ物を、夏に比べてたくさん摂取する必要があります。

夏はあまり食べる必要がありません、冬は寒いから夏よりもたくさん食べましょう、と

いうことはいつもお伝えしていますので、皆さんもうご存知のことだと思います。


しかし、冬はたくさん食べると言っても、毎日毎日満腹になるまで食べていては良く

ありません。また、消化に時間がかかり胃腸に負担のかかるような食事を頻繁にして

いては、内臓も疲れてきてしまいます。肉や油っこいもの、こってりしたもの、砂糖

たっぷりの甘いものなどはほどほどにしておきましょう。そして食べ過ぎたと感じる

ときは、空腹の時間をしっかり作る、食べる量を減らすなどして調整しましょう。


五行論では冬は、腎、黒、鹹(かん:しおからい)、などと関わりが深いですね。

黒い食べ物や腎を補う食材などを取り入れると良いでしょう。また、血圧が高い方は

塩分を控えるように言われますが、塩分を極端に減らしてしまうと元氣がなくなって

しまいます。精製塩(塩化ナトリウムのみの塩)は良くないですが、天日塩などの良い

塩はある程度摂るようにしましょう。(摂り過ぎはもちろんよくありません)


体内でたくさん熱を生み出す(燃焼する)と、陰が消耗します。冬は空気も乾燥していま

すので、カラダに潤いを与えてくれる、陰を補う食材も取り入れると良いと思います。

(10月3週目のメルマガ参照)

冷えを感じる方はカラダを温めてくれる温性の食材を増やす、生ものや冷たいもの、

寒涼性の食べ物は控えるようにしましょう。生で食べるのか、煮るのか、焼くのか、

揚げるのか、調理法によっても食べ物の性質は変わってきます。


冬が旬の食材もたくさんあります。季節のものはエネルギーも栄養も豊富ですので、

ぜひ多く取り入れてください。お鍋にして食べると体も温まり、旨味や栄養もしっかり

摂れるので、寒い冬にはぴったりですね。


〈体を温める食材〉

長ネギ・しょうが・にら・シソ・にんにく・らっきょう・唐辛子・かぼちゃ・なつめ・

温州みかん・金柑・栗・くるみ・ざくろ・えび・さば・あじ・いわし・鮭・牛肉・

鶏肉・羊肉・紅茶・シナモン 等


〈冬が旬の食材〉

白菜・長ネギ・大根・ブロッコリー・カリフラワー・春菊・ほうれん草・小松菜・

ごぼう・かぶ・キャベツ・れんこん・山芋・里芋・百合根・温州みかん・金柑・かに・

牡蠣・たら・たい・さわら・ひらめ・かれい・ぶり・タコ 等


〈黒い食材、鹹味の食材、腎に良い食材〉

黒ゴマ・黒きくらげ・黒豆・黒米・昆布・のり・わかめ・ひじき・もずく・アサリ・

ハマグリ・シジミ・アワビ・牡蠣・エビ・ごぼう・山芋・サツマイモ・椎茸・小豆・

栗・クルミ・クコ・味噌・塩(天日塩)・醤油 等

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今週もお読みいただきありがとうございました。

食べることも必要ですが、まずは動くこと、カラダを動かすことが大切です。

寒いからと言ってカラダを動かさないで食べてばかりいては、消化も良くありません

し、血液もドロドロになってしまいます。

冬は交感神経優位になり、血圧が上がったり、血管も収縮したりしやすい季節です。

カラダを動かして氣を上げて、血管が詰まらないように、氣血の巡りを良くしておき

ましょう。


漢方養生アドバイザー® 吉澤茜


【12月の養生(1)みかんの効能】12/6配信メルマガ#23

12月に入りました。いよいよ今年も残り1ヶ月をきりましたね。

毎年毎年、一年が本当にあっという間に過ぎて行くように感じます。

皆さんは、今年はどんな年でしたか?

年の瀬は慌ただしいですが、そんな中でも今年を振り返り、来年の目標を立てる時間を

とるのも良いかもしれないですね。忙しいときほど、心に余裕を持ちたいものです。


さて、11月の終わり頃から朝晩の気温がまた一段と下がり、季節は晩秋から冬へと

変わってきたように感じます。もう暖房も必要になってきますね。

我が家でも11月の半ばを過ぎた頃、こたつを出しました。

子どもたちは宿題をする時も、テレビを見る時も、ずっとこたつに入っています(笑)。

「こたつにみかん」と言えば、昔から日本の冬の風物詩ですね。

みかんも旬を迎え、今の時期が一番美味しく、栄養もたくさん詰まっていると思います。


温州みかんの性質は、五味:甘・酸、五性:温性、帰経:脾・胃・肺、となっています。

温性、つまり、カラダを温めてくれる果物なのですね。

みかんの皮を剥くとある白い筋や薄皮(袋)には、ヘスペリジンが豊富に含まれていて、

血流を良くする効果や、動脈硬化の予防効果があると言われています。

白い筋もなるべく取らずに一緒に食べると良いですね。

また、みかんの皮を剥くと、柑橘の良い匂いがしますが、皮には精油が含まれており、

氣の巡りを良くしたり、リラックスさせたりする効果があります。


みかんの皮を乾燥させたものは「陳皮」という名前で漢方薬としても使われます。

「陳」というのは、「古い」という意味で(新陳代謝の陳ですね)、古いものほど良いと

されているため、そう呼ばれます。

効能は、氣の流れを良くして胃もたれや腹部膨満感、むかつきなどを改善し、また痰が


多い咳にも用いられます。陳皮は七味唐辛子にも入っていますね。

みかんには他にもビタミンC、β―クリプトキサンチン、食物繊維なども豊富に含まれ

ています。今が旬のみかんを食べて、元氣に寒い冬を過ごしましょう!

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今週もお読みいただきありがとうございました。

今ほど家の気密性も高くなく、エアコンなどの暖房器具もなかった昔は、冬は本当に

寒くて過酷な季節だったと思います。

こたつで暖を取り、温性のみかんを食べる、これも先人の知恵と経験ですね。

冬でも家の中では薄着で過ごせるぐらいの現代は、「こたつでアイス」という人もいる

かもしれませんが、冬に冷やすのは特に良くないですので、気を付けましょうね。

漢方養生アドバイザー® 吉澤茜

【11月の養生(5)風寒証と風熱証】11/29配信メルマガ#22

先週に続き、風邪のお話です。

実は「風邪(かぜ)」というのは正式な病名ではありません。

西洋医学的には「急性上気道炎」と言います。ウィルスなどが上気道(鼻や喉)に感染

することで炎症が起き、発熱、倦怠感、くしゃみ、鼻水、鼻詰まり、喉の痛み、咳、痰

などの様々な症状があらわれます。

現代医学での治療法は、解熱鎮痛剤や抗アレルギー剤、咳止めなどの薬で症状を抑え、

安静にするというものになるでしょう。


西洋医学では「この病気(病名)にはこの薬」と決まっていますが、東洋医学では、その

症状や原因から病気を弁証し、寒熱・虚実・表裏を判断して治療をします。

ですから、症状が同じでも違う漢方薬を用いることがありますし、逆に症状は全く違う

のに同じものを使うということもあります。


漢方薬では「風邪といえば葛根湯」のイメージがありますが、ひとことに「風邪」と

言っても、それぞれ証は違います。どんなときでも葛根湯でよいのでしょうか。

今回は代表的な「風寒証」と「風熱証」について見ていきましょう。


風寒証のかぜは「寒」の性質が強いかぜです。症状は、悪寒、頭痛、首・肩・背中の

筋肉のこわばり、関節痛、水っぽくて薄い鼻水や痰、鼻詰まり、くしゃみ、などです。

寒気が強く、手足が冷える、冷たいものは飲みたがらない、初期にはあまり発熱はなく、

透明で薄い尿がたくさん出る、といった寒性の症状があります。

このようなかぜのときは身体を温め、汗をかいて邪気を追い出すという治療方針になり

ます。これを助けてくれるのが葛根湯です。葛根湯には、温性の生薬である麻黄、桂枝、

生姜などが中心に入っています。もし葛根湯が手元にない、すぐに手に入らないという

ときは、温性の薬味であるネギやショウガなどをお粥やスープなどに入れて摂るのも

良いでしょう。カラダの内側からも外側からも温めて、邪気を追い出しましょう。

葛根湯は、かぜの初期、ゾクッときて、これから熱が上がりそうだな、と感じたときに

飲むのがオススメです。


風熱証のかぜの症状は、はじめから熱が出る、喉が赤く腫れて痛む、黄色く粘った鼻水

や痰が出る等です。ひきはじめから寒気がほとんどなく、冷たい飲み物を好む、氷枕が

気持ち良い、手足がほてる、濃い尿が出る、舌が赤い、といった熱性の症状が出ます。

このような風熱証のかぜのときに、身体を温める作用のある葛根湯を服用してしまうと、

余計に熱症状が悪化してしまいます。

風熱証のかぜのときには、清熱解毒作用(熱を冷まして、細菌やウィルスを退治する)の

ある生薬を配合した銀翹散(ぎんぎょうさん)などがよく用いられます。


風邪は症状が変化しやすいので、よく状態を観察し、そのときに合った対処をすること

が大切です。

「風邪は万病の元」「風邪は百病の長」とも言われます。ひきはじめの素早く適切な

対応も大切ですが、ふだんからかぜをひきにくいカラダ作りをしていきましょう!

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今週もお読みいただきありがとうございました。

風邪の常備薬として家に置いておくなら、葛根湯と銀翹散があると良いと思います。

今回は代表的なふたつのタイプの風邪の症状について述べましたが、他にも、胃腸の

症状がでたり、熱が長引いたり、咳がひどかったり…と様々な症状があると思います。

軽いかぜで病院に行く必要はないと思いますが、家庭で対処が出来ない場合は無理せず

受診してくださいね。

漢方養生アドバイザー® 吉澤茜

【11月の養生(4) 風邪かな?と思ったら】11/22配信メルマガ#21

秋になると、風邪薬の宣伝が始まります。

「早めのパ○ロン♪」「熱・のど・鼻にル○が効く♪」等お馴染みのCMがありますね。

ゾクッときたり、喉が痛かったり、風邪かな?と思ったらどうしますか?

これを読んでくださっている皆さんは、市販の総合感冒薬(いわゆる風邪薬)を服用する

ことはあまりないでしょうか。


総合感冒薬には、解熱鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、咳止め、去痰剤などが含まれています。

それぞれ、熱を下げ、痛みを和らげ、くしゃみや鼻水を止め、咳を鎮め、痰を出しやす

くする、という効果があります。

たしかに風邪薬を飲めば、風邪のつらい症状はおさえてくれるかもしれません。

しかし、症状が治まれば風邪は治っていると言えるのでしょうか?


発熱、咳、くしゃみ、鼻水などの症状は、すべてカラダの免疫反応によるものです。

体内に侵入してきたウィルスと闘ったり排除したりするために、カラダは体温を上げ

たり咳を出したりするのです。

そうやって闘っているところに、薬で無理やり症状を止めてしまったらどうでしょう。

なかなかウィルスを抑えることができず、かえって長引かせてしまうことになってしま

うのではないでしょうか。

カラダに起こる反応はすべて必要あってのこと。基本的には止めるのは良くありません。


風邪をひくのは免疫力が落ちているサインですから、まずは無理をせずにゆっくり休む

ことが大切です。

日本人は勤勉な人が多く、風邪ぐらいで仕事は休めない、というような風潮があります

が、薬で症状をおさえて無理して仕事や学校に行ったりするのはやめましょう。

職場や学校で他の人に感染を拡大させ、逆に迷惑をかけてしまうことにもなります。


そしてもうひとつ、体調が悪いときは「栄養のあるものをいっぱい食べて元気をつけよ

う!」という方がいますが、これは大きな間違いです。

風邪のときに食欲が落ちるのは、カラダの自然な反応です。

無理に食べる必要はありません。食べないで治そうとしているのです。

満腹時より空腹時のほうが白血球の働きも良くなり免疫力が上がります。

消化に時間のかかるものは、胃腸にも大きな負担になります。

体調が悪いときの食事はなるべく消化の良いものを少量にしておきましょう。


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今週もお読みいただきありがとうございました。

病気やケガのときにもせっせと食べているのは人間だけです。

動物は食べずにじっと休んで治していますね。その方が回復が早いということです。

「人間は誰でも体の中に百人の名医を持っている」

「病人に食べさせると病気を養うことになる、一方、食事を与えなければ病気は早く治

る」 医学の父ヒポクラテスの言葉です。

体の中の名医たちが存分に働けるようにしてあげることがとても大切だと思います。

漢方養生アドバイザー® 吉澤茜

【11月の養生(3)朝はパン派?ごはん派?】11/15配信メルマガ#20

「朝はパン♪」なんて言うCMも見かけますが、皆さん朝食にはパンを食べますか?

それともごはんですか?

いろいろなアンケート結果を見ると、パン派・ごはん派、だいたい半々のようですが、

漢方養生学的には、朝食にはごはん(お米)をオススメします!

お米は氣を上げて元氣をつけてくれる食物であり、反対に小麦は氣を下げて静める、

熱を冷ます作用があるからです。朝は眠っているカラダを目覚めさせて氣を上げていく

必要があります。そしてこれからはどんどん気温が下がり寒くなっていきますので、

なおさら朝食にはごはんが良いですね。

また、パンを食べるときに塗るバターやジャムなどは糖分や脂質が多いですし、パンを

自分で手作りされている場合はいいと思いますが、市販のパンには添加物などもかなり

たくさん含まれています。菓子パンを朝食代わりにしている人もいるかもしれませんが、

これは特に良くありません。菓子パンには大量の砂糖、質の悪い油、人工的な添加物等

がたくさん使われています。手軽に食べられて便利ですが、ぜひおにぎりなどに変えて

いきましょう。

もともと小麦が主食だった欧米諸国の人にとってはパン食もいいかもしれませんが、昔

からお米を食べてきた日本人のカラダ、胃腸にとっては、やはりお米が良いと思います。

秋は新米の美味しい季節です。朝食にはぜひお米を食べて、元氣に過ごしましょう。


朝は忙しくて時間がないとか、食欲があまり湧かないからと言って、朝食を摂らないと

いう人もいると思いますが、一日元氣に活動するためにも、朝ごはんを食べましょう。

朝は食欲がない、胃がもたれている、などの場合は、前日の夕食が影響しているかも

しれません。仕事の都合で夕食の時間が遅くなってしまう、夕食にお肉や揚げ物など

こってりした重たいもの(消化に時間がかかり胃腸に負担のかかるもの)を食べている、

というような場合は食生活を見直す必要があります。夜はできるだけ消化の良いもので、

量も少なめにしましょう。

夕食が遅くなってしまう場合はお味噌汁やスープにするのも良いと思います。旬の野菜

などをいろいろ入れて具沢山にすると、とても満足感がありますし、カラダも温まり

ますよ。


そして朝食の前には、少しでもカラダを動かしてから食べましょう。外に出て朝日を

浴び、できれば散歩や軽い体操などをすると、なお良いですね。カラダを動かすことで

内臓も目覚め、消化が良くなります。エネルギーに変わりやすくもなるので太りにくく

なるというメリットもあります。


「朝食が美味しく食べられる」というのは、ひとつの健康のバロメーターだと思います。

日中の過ごし方、夕食の内容、睡眠の質など、いろいろなことが影響してくると考えら

れますので、できるところから生活習慣、食生活を見直してみましょう。


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お読みいただきありがとうございました。

朝食に炊きたてのごはんを食べるか、コンビニなどで買った菓子パンを食べるかで、

我が家の子どもたちの機嫌も違うなと感じています。

多動、キレやすい、集中力がない、元気がない等、子どもたちの様々な精神的問題が

言われていますが、食べるものも影響しているのは間違いないと思います。

You are what you eat.あなたはあなたが食べたものでできている。食は人なり。ですね。

漢方養生アドバイザー® 吉澤茜

【11月の養生(1)肺と皮膚と免疫力】11/1配信メルマガ#18

五行論では、皮膚は肺と同じ「金」の仲間となっています。

ヒトの皮膚呼吸は、呼吸全体の0.6%ほどと言われていますが、皮膚でも呼吸していま

す。鼻、咽喉、気管など呼吸と関連する器官がすべて「肺」と捉えると、皮膚や毛穴も

肺の一部と考えられます。

肺が虚弱だと風邪をひきやすく、喘息やアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などにも

なりやすいです。

気温が下がり、乾燥が進んできたこの季節、肺の氣をUPすることはとても大事ですね。


昔は、寒い冬の朝、上半身裸になって乾布摩擦をする姿がよく見られました。

皮膚をタオルで擦って刺激することで、肺を鍛える健康法ですね。

最近ではあまり見かけなくなりましたが、乾布摩擦が健康に良いということで、再び

注目を集めています。

効果としては、

・カラダが温まり冷えを改善

・自律神経を整い免疫力が向上

・血流が良くなり新陳代謝アップ

などが挙げられます。

また、寝る前に行うことで、睡眠の質が向上したという実験結果もあるようです。

上半身裸にならなくても、薄手の洋服や部屋着の上からでも十分な効果があります。

乾いたタオルや手ぬぐいで、心地よいと感じる力加減で擦りましょう。

あまりゴシゴシ強くやると、皮膚を傷つけたり炎症が起きたりする原因になってしまう

ので気を付けてください。

手足の末端から、カラダの中心に向かって各15回ずつぐらいで良いと言われています。

腕(手)、脚(足)、背中、肩、お腹など、トータル5分ぐらいでできますので、乾布摩擦を

朝晩の習慣にしてみてはいかかでしょうか。

朝やることで氣が上がり、夜にやると良い睡眠に繋がりますよ。

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今週もお読みいただきありがとうございました。

乾布摩擦も、健康に生きるための先人の知恵ですね。

お金もかからず、誰でも簡単に始められますので、ぜひ実践してみてください。

次回もお楽しみに!

漢方養生アドバイザー® 吉澤茜

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