【2月の養生(3)入浴の効果】2/21配信メルマガ#32

先週は「冷え」についてお伝えしました。

冷えの話の続きでもうひとつ、冷える方だけでなく皆さんにおすすめしたいのが、

入浴です。シャワーだけで済ませるのではなく、ぜひ湯船に浸かってください。


現代ではほとんどの人が毎日お風呂に入ったりシャワーを浴びたりすると思いますが、

では何のためにお風呂に入るのでしょうか?

頭やカラダを洗って汗や汚れを落とし、清潔にするため?

もちろんそれもあります。

でも洗浄し清潔にすることだけが目的だったらシャワーだけでも構わないですよね。

実は温かいお風呂に入るのは、たくさんのメリットがあります。


・全身を温めて血管 ( 特に毛細血管 ) が広がることで、血行を促進。

・新陳代謝が高まり、老廃物の排泄を促進し、疲労回復。

・水圧がかかることでむくみが解消。血流も良くなる。

・ぬるめ (40 ℃ぐらい ) のお湯に浸かることで副交感神経が優位となり、リラックス効果。

・浮力効果 ( 水中だと体重が約 1/10) で重力から開放され、筋肉や関節の緊張がゆるむ。

・温かいお湯に浸かることで毛穴が開き、汚れや皮脂が洗い流せる。

・就寝の 1 ~ 2 時間前に入浴することで、眠りにつきやすく、質の良い睡眠につながる。

・蒸気が鼻や喉に潤いを与える。

・好きな香りのアロマオイルなどを入れることで、香りによるリラックス効果。


ほかにもまだあると思いますが、これだけ見ても湯船に浸かることで得られる効果は

たくさんありますね!

半身浴が良い、という話も聞きますが、 全身浴の方が温熱効果、 浮力効果、水圧の効果

などを効率的に得られて、冷えの改善やむくみ、 肩こり等にも効果的のようです。

( 心臓や肺などに疾患のある方はカラダに負担がかかってしまうこ ともありますので

気をつけてください )


42℃以上の熱いお湯だと、交感神経が優位になり、血圧が上がったり、興奮状態に

なってリラックス効果も得られにくいです。 また心臓にも負担がかかりますので、

あまりオススメしません。

40 ℃のお風呂では物足りないという方は、 温熱効果を高めてくれる入浴剤などを

活用すると良いと思います。 ( 桃林堂薬局でも良い入浴剤を扱って いますよ )


入浴前後の水分補給も忘れずに。

ただしアルコールとカフェインの入った飲み物は、水分補給にはなりませんので要注意。

利尿作用で逆に脱水を招いてしまいますので、白湯や麦茶などにしましょう。


今は夏でもエアコンで冷やしているので、一年中、湯船に浸かってカラダの隅々まで

温めて、血流を良くしてあげるのが良いですね。

たくさんの効果のある入浴、ぜひゆったりとリラックスしながら毎日のお風呂タイムを

楽しんでみてください。


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今週もお読みいただきありがとうございました。

たまに温泉や銭湯などの大きなお風呂に入ると、本当に気持ちがよくて、心もカラダも

癒やされますよね。 景色の良い露天風呂なんかは開放感もあって最高です。

毎日 ( 週 7 回 ) 入浴している人は、週 0 ~ 2 回しか入浴しない人に 比べて、要介護になる

割合が 3 割低くなるという研究結果もあるそうです。 毎日の習慣が大切ですね。

漢方養生アドバイザー ®  吉澤茜

【2月の養生(2)冷えは万病のもと】2/14配信メルマガ#31

「冷えは万病のもと」とよく言われますね。

冷えにより様々な症状が現れます。

頭痛、肩こり、腰痛、不眠、便秘、下痢、生理痛、生理不順、むくみ、頻尿、等々…

さらに、体温が低いと免疫力が下がる、ガン細胞が増殖しやすい、などという話も

聞いたことがありますよね。

また代謝が悪くなって太りやすくなり、ドロドロ血液を招き(瘀血)、生活習慣病の

リスクも高まることが考えられます。

全身の重大な病気へも繋がる可能性もある冷えは、まさに万病のもとですね。


人間は恒温動物なので外気温に関係なく常に体温を36.5~37度に保とうとします。

体内で必要な熱を産生しているのは、主に筋肉です。

運動して筋肉を動かすと暑くなります。

寒いときや悪寒のするときはカラダに力が入り、ガタガタ震えますよね。

これは筋肉を震わせて熱を作り出しているのですね。

ですから、男性に比べて筋肉量が少ない女性の方が冷える人が多いですし、運動不足や

ダイエットなどで筋肉が減ってしまうと体温が上がりにくく、冷えやすくなります。


コロナ禍で外へ出ることが減ったり、リモートワークに変わって通勤がなくなったり、

スポーツジムなども辞めてしまったりして、ここ2年ぐらいで急に活動量が減り、

運動不足を感じている人も多いでしょう。

じーっとして筋肉を動かさないでいると、カラダはなかなか温まりません。

筋肉も落ちて余計に冷えやすくなってしまいます。


エスカレーターやエレベーターではなく階段を使う、歯磨きをしながらスクワットを

する、なるべく乗り物を使わずに歩ける距離なら歩くなど、まずは簡単にできること

からやってみましょう。下半身の大きな筋肉を使うのは効果的です。

運動するぞ!と気合を入れてやるのはなかなか大変ですが、日常生活の中で意識して

筋肉を使うだけでもかなり違うと思います。


また、冷えを感じる人は、冷飲食を避け、カラダを冷やす作用のある(寒涼性の)食材を

食べるときは調理法を考えたり、温性の食材と組み合わせたり、薬味を使うなどして

バランスをとりましょう。

内臓を直接冷やしてしまうのは、どんな人にとっても良くありません。

冷えを感じている人はなおさらです。

現代では、冷たい物を飲むのが習慣化して、真冬でも氷入りの飲み物を飲んでいたり、

アイスを食べたりしている人もよくみかけます。

「冷えは万病のもと」であることを忘れずに!

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今週もお読みいただきありがとうございました。

日常的に冷えを感じているのは、未病の状態と言えます。

冷えは女性に多いですが、最近では男性や子どもにも増えてきているようです。

自分は冷え性の体質だからとあきらめずに、養生して改善していけるといいですね。

漢方養生アドバイザー® 吉澤茜

食道のそばには、心臓や肺があります。冷飲食は内臓をダイレクトに冷やしてしまいます。

【2月の養生(1)痛み止めの話】2/7配信メルマガ#30

今までの人生で、解熱鎮痛剤(痛みをおさえたり熱を下げたりする薬)を一度も服用した

ことがない人はほとんどいないのではないでしょうか。飲み薬だけでなく、湿布や

塗り薬などの外用剤もありますね。皆さん、一度は使ったことがありませんか?


頭痛、生理痛、発熱、外傷などによる痛み、抜歯などの術後等々、病院でもよく処方

されますし、最近ではロキソニン®も市販薬となり(スイッチOTC)、処方箋がなくても

手軽に薬局で買えるようになったので、より身近な存在になっているのではないで

しょうか。

CMでも「痛くなったらすぐ」とか「我慢しないで早めに」などと言っているのを

よく耳にするので、常用している人も多いかもしれません。


たしかに痛みはつらいです。

我慢するより、薬を飲んでなるべく軽く、早く楽になりたいと思うのも分かります。

でも痛くなったらすぐに、頻繁に服用していて良いのでしょうか?


バファリン®やロキソニン®に代表されるような解熱鎮痛剤は、NSAIDs:非ステロイド

性抗炎症薬(Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs)と呼ばれます。

プロスタグランジンという、炎症、発熱、痛みを起こす物質が作られるのを阻害する

ことで、効果を発揮します。

ではなぜ、体内でプロスタグランジンが作られるのか?

それは副交感神経優位にして、病気やケガを治そうとしているカラダの反応です。


副交感神経は適度に活性化したときはリラックスできて、感覚も敏感になりますが、

過剰反応を起こすと、発熱、痛み、発赤、腫れなど、とてもつらく、不快な症状を

伴います。

しかし病気やケガを治す過程では、そうやって患部への血流を増やし、組織を修復して

治そうとしているのです。

ですから、つらくてもある程度までは受け入れないと治りません。


現代の医療では、この副交感神経が起こす治癒反応を薬で抑えようとします。

不快なつらい症状は止まりますが、同時に治癒反応も止めてしまっているのです。

症状が治まれば楽になって治ったように感じるかもしれませんが、根本的には治って

おらず、慢性化させ、長引かせてしまう可能性もあります。


症状がとてもつらいときは、薬を使って軽減するのも良いでしょう。

しかし、解熱鎮痛剤は決して根本から治してくれているわけではない、ということを

自覚して使わなくてはなりません。薬で症状を軽くしている間に、必ず養生することが

必要です。

痛み止めを頻繁に使っている方は、いま一度、使い方を見直してみてくださいね。


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お読みいただきありがとうございました。

西洋医学では、炎症を止めること=病気が治ること、になってしまっています。

症状を取り除くこと、対症療法ばかりになると、病気をより悪化させてしまうことも

おおいにあると思います。

薬に頼るばかりでなく、養生しながら、上手に使ってほしいと思います。

漢方養生アドバイザー® 吉澤茜

2022.2.6 漢方養生と宮廷料理を楽しむ会

1月の終わりから3月初めの時期を初春といいますが、

七草粥をきっかけとして春の養生をしていく時期になります。

体温を維持するために冬はしっかり食べていたので、

春はまず解毒をすることが必要です。

春は疏泄を主る肝の気が旺盛になります。

少しずつ食べる量を減らし、体を動かして、しっかりデトックスしていきましょう♪

「肝は逍遥を好む」です。のんびりのびやかに過ごすことも忘れずに。

前菜(海老のフライ・アオリイカの菜和え・蒸し鶏の麻辣ソース・マコモダケのスパイシーフライ・餡団子)

蒸しもの(鶏・豚・金華ハム)海老のせ

豆腐干糸のスープ

牛肉と山芋のオイスターソース炒め

タロイモのお汁粉

       

【1月の養生(4)自分に合った養生を】1/31配信メルマガ#29

私の友人の話なのですが、寒い時期になると手足の末端がとても冷えて、ひどいと

しもやけができる。なので冷えを改善するために毎日ショウガを食事や飲み物に入れて

せっせと摂っている、という話を聞いたことがありました。

冷え性の人はカラダを温める作用のあるショウガを摂ると良い、というのは陰陽の

バランスを考えるととても良さそうですね。

しかし、これは、しもやけができる人全員に当てはまるのでしょうか?


しもやけは、寒さによる血行不良が原因で、手足の指先や耳たぶなどの身体の末端部が

赤く腫れたり、痒みや痛みが出たり、ひどいときには水ぶくれができたりすることも

あります。真冬よりも、寒暖差の大きい初冬や冬の終わり、春先に多いと言われて

います。


その友人は、見た感じや普段の生活、体調などを聞いていると「陰虚」体質のように

見受けられました。

陰虚ということは、陰が少ないので相対的に陽が過剰になっています。

そしてしもやけの症状と言うのは、腫れ、赤み、痛み、痒みなど、「陽」の症状です。

そこに温性のショウガを毎日摂っていたらどうでしょう。

さらに陽が過剰になり、しもやけの症状が悪化してしまうかもしれません。


この場合は、不足している陰を補うことが必要でしょう。

陰を補う(カラダを潤す)作用のある食材、腎の働きを助け、血を補う食材を摂る、

睡眠をしっかりとる、ゆったりとくつろぐ時間をとる等。

また普段からストレスがあり、交感神経の緊張が続いていると末梢の血流が悪くなり、

気滞、瘀血を招きます。発散、逍遥とすることもとても大切です。

ゆっくり湯船に浸かってリラックスする、温かいハーブティーを飲んで一息つく、

好きな香りのアロマを取り入れるのも気の巡りを良くしてくれます。

運動不足で巡りが悪くなっている人は、なるべくこまめにカラダを動かすように意識し、

滞らないようにしましょう。


しもやけ=冷え性­=温める、ではなく、なぜそうなっているのか、なぜその症状が

現れているのか、原因は人それぞれ違います。

逆のことをすると良くならないどころか、悪化してしまうこともあります。

もともとの体質、気質、生活習慣、食生活など、ひとりひとり違いますので、

陰陽、寒熱をよく観察し、自分に合った養生を取り入れましょう。


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お読みいただきありがとうございました。

漢方養生学を学ぶと、健康や生活習慣を乱している根本的な理由を見つけることが

できるようになり、様々な養生法を試していく中で、自分が元気になる養生法が

分かるようになります。するとすぐに行動、実践につながりますし、大切な人にも

ひとりひとりに合った養生法をアドバイスすることができるようになります。

まだ漢方養生アドバイザーの資格をお持ちでない方はぜひ目指していたいただき、

一緒に漢方養生学を伝えながら、仲間づくりをしていきましょう!

よろしくお願いします。

漢方養生アドバイザー® 吉澤茜